この記事では、現役データサイエンスティストへ聞き取りを基に
- 将来子どもがAI時代生き抜くために必要な能力が知りたい
- 子どものうちにプログラミングを学んだほうがいい?
- STEAM教育って具体的に何すればいいの?
と考えるご家庭に向けて書いています。
野村総研とオックスフォード大学の共同研究により、将来仕事の半数がAIに奪われると言われています。
懐疑的な見方をしていた人もいるかもしれませんが、ChatGTPの出現により、その説が早くも現実味を帯びてきました。
そこで今回は現役データサイエンティスト※の夫への聞き取りを基に、AI時代に必要な能力と、それを身につけるための方法をご紹介していきたいと思います。
大手企業のデータサイエンティストである夫ですが、実は大学で情報系の学部は卒業しておらず、全く異なる学部を卒業しています。
未経験からどのように学んでいったのかという部分が、子育てにもつながる部分を感じたのでご紹介していきたいと思います。
プログラミングや統計よりも、大事な要素はたった一つです。
AIを駆使する職業のデータサイエンティストとは
まず、夫の職業であるデータサイエンティストとは何かについてご説明します。
すごく簡単にいうと
「大量のデータを収集し、統計やIT(AI)などのツールを駆使して分析する職業」
というように表現できるのではないかと思います。
データサイエンスが使われている場を身近な例で挙げると
- 買い物では…
消費者の商品の購入・閲覧履歴を収集し、好みの傾向からおすすめを紹介したり、売上や在庫管理、廃棄の管理に活用する - 工業や物流では…
生産ラインの異常検知
物流の最適ルートの分析 - 水産・農業での活用では…
AIの画像解析により品質の良いものを瞬時に判定
農作物の健康状態を自動管理し、病気から守る
などがあります。
鮮度のいいマグロの目利きをAIが自動判定してくれるニュース、見たことあるよ!
ネットの買い物でも、よくおすすめ商品が自分の嗜好に沿って表示されるよね。
企業がデータをうまく活用すると、
より正確な処理が行えたり、業務が効率化できる
→人件費や仕入れ費用などが削減できる
→消費者の満足度も上がり、経済が活性化する
というように、経営側も消費者側にもメリットがあります。
このように、生産活動の好循環に影響を与える、大きな役割を担っているのがデータサイエンティストなんです。
データサイエンティストってすごいんだね。
でも、自動化とかで「人件費が削減できる」ってことは、今はあっても将来なくなる仕事もあるってこと…?
確かに、10〜20年後にはAIやIT技術の発達で、現在ある仕事の約半分がなくなると言われているね。
今後はAIやデータ(ビッグデータ)をうまく活用できる人材の需要がますます高まってくると思われるので、ITを駆使する能力を身につけることはとても重要です。
未経験からなぜデータサイエンティストになれたのか
データサイエンティストになるには、一般的には情報系の学部で機械学習や統計学について学びます。またシステムエンジニアから勉強して転身することも多いと思います。
夫は化学系学部を卒業していますし、システムエンジニアの経験もありません。
それでも未経験からAIを駆使する職業として活躍をしているのは、妻目線ですが、以下の3つの要因があるからではないかと思います。
統計理解の必要性を感じ、自主的に勉強した
データを活用するためには統計の知識は必須。
まだデータサイエンティストになる前でしたが、その頃から仕事において
「データの異常検知には統計理解が必要!」と感じたようで、自主的に勉強していました。
平日夜や土日も勉強していましたが、統計の理解が仕事で実際に役に立つと、達成感があったようです。
ゲーム作成の経験からプログラミングの基礎知識があった
小学生の頃、ゲームが大好きだった夫は自分でもゲームが作りたいと、プログラミングを自主的に学んだ経験がありました。
その経験からプログラミングの基礎知識はあったので、社会人になってから再度、新しい言語(AI向けの言語Python)を学ぶことができたようです。
オタク気質が分析力を育んだ
ハマるととことん突き詰めるタイプの夫ですが、それに拍車をかけたのはやはりゲーム経験。(笑)
しかもただゲームをするのではなく、攻略サイトを作ったり積極的に大会に出場したりして、勝つためにはどうしたらいいかを考えアウトプットしていました。
大学生の頃、ゲームしながら電卓を叩いていたのを見たときはちょっとひきました!
AI時代を生き抜くには、「論理的思考」がもっとも大事
やっぱりこれからはプログラミングや統計ができることも大事なんだね。でも勉強するの大変そうじゃない?
いや、それはあくまでツールだから逆にいえば勉強すれば誰でもできるよ。データサイエンティストで一番重要なのは「なぜ?」って思うこと(科学的思考=論理的思考)だよ。
夫はプログラミングや統計ができるスキルを身につけることよりも、一番重要なのは「なぜ?」と考える力、つまり「論理的思考」なのだといいます。
たとえば子どもと家で科学実験をしようとして
「塩を入れた水を凍らせると、通常の水より早く凍る」という仮定が本当かを実験してみるとします。
A:何も入れない水
B:塩を1%入れた水
C:塩を5%入れた水
冷凍庫に入れて実験して、A~C間で氷になる時間に差が出たとします。
ここで
これで実証できた!
となるのではなく、
差は出たけど、この差って、本当に「差」?
もしかして「誤差」だったりしないのかな?
と、(実験が予想通りに成功したとしても)深堀りして考えていく思考を持つことが論理的思考であり、データサイエンスで重要な能力なんだそうです。
また冷凍庫に他に食材が入っていたりすると、その量で温度も変わってきます。
実際のデータサイエンティストの仕事でも、AIが学習して出した結果を鵜呑みにはせず、「この結果は本当なのか?」と検証するようです。
他にも、たとえば「家庭菜園で糖度ができる限り最大になるようないちごを作りたい!」
ということで、有名な栃木県の農家に複数ヒアリングし、育て始めの時期、日照時間、肥料の量や与えるタイミングなど、育成に必要な情報をAIに学習させ、その結果算出された育成条件をもとに育てるとします。
その結果、例えば「暑いほど美味しいいちごができる」という条件になっていたら。
たとえAIがそう分析したとしても、一般的な感覚と少し違和感を感じるようなら鵜呑みにはしないそうです。
農家の情報と整合しているか?
など、多角的に結果と学習データを分析します。
AIの情報をもとに、実証実験までやってもうまくいかない場合もあります。
たとえば北海道など、栃木と大きく環境が違うところで実証実験をしていたら、AIの結果通りにやってもうまくいかないかもしれません。
日常や仕事で使われるAIの精度はかなり高くなったとはいえ、万能ではありません。
AIは学習したことでしか判断できないので、人間がその部分をどう補っていくのかが課題になっているのです。
論理的思考をつけるにはどうすればいいの?
論理的思考が重要なのはわかったけど、論理的に考えられるようになった要因には、何があると思う?
やっぱり大学時代化学を専攻していたのは大きいかな。
実験のときやっぱりみっちり叩き込まれたもん…
小学校での夏休みの自由研究でも、
という流れでやっていくと思うのですが、
大学の研究も同じで、実験をして検証する際は
という流れでやっていくのだそうです。
この考え方をデータサイエンスに活かしているそう。
仕事でいうPDCAサイクルとも似ているね!
理系や研究に限った話でなく、このような「なぜ?」「本当にそうなのか?」と、疑問に思って検証していくこと自体が大切ってことなんだよね。
こういった論理的思考は、
本を読む習慣が小さい頃にないと、大人になってからも読まないのと同じで、子ども時代から、論理的な考え方ができるよう、クセづけていくことが大切だと思います。
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子どもに論理的思考を身に着けさせる具体的な方法
以上の話をふまえ、子どもに論理的思考をつけるためには、以下のことを実践していくのがおすすめです。
- 「なぜ」と思ったら実験や実証などで手を動かしたり、予想してどんどん調べてみる
- 積極的に野外活動(自然教育、社会科教育)をしてみること
- 読書や作文などで国語力を高めてみる
- プログラミングに挑戦してみる
なぜ?と感じたら調べたり行動したりして積極的に実証する
日常生活から論理的思考思考をつける方法で一番有効と思うのは、やはりこちら。
「なぜ?」と感じたら一緒に調べたり観察したり実験したりしてみること
疑問があって予想を立てたら、通常の図鑑で調べるのもいいし、
今はGoogleRensなどのアプリで、カメラをかざすと名前を出してくれる便利アプリたくさんありますよね。
また学研で「ふしぎの図鑑」といって、あらゆる疑問に答えてくれる図鑑。
うちにもありますが、「どうして海はしょっぱいの?」などの疑問に図解や写真で答えてくれます。
算数でも、たとえば立体や長さなどを学ぶ際は、実際に工作したり、巻き尺で測ったりして実際に手を動かしてみると理解しやすくなります。
積極的に野外活動(自然教育、社会科教育)をしてみること
科学や自然のみならず、社会見学や工場見学でも「なぜ?」は引き出すことができます。
その代わり授業の進度が遅れてしまい、最後はかけこみ授業だったようですが(笑)親からも子どもからもとても好かれていたそうです。
そんな先生だったらいいなー!
「どうしてこんなところに標識がある?」とか、
「どうして今ここで工事しているの?」など、
疑問に思ったことは、子どもと一緒に聞いてみるなどして調べてみると、教科書よりずっと学びが深まります。
読書や作文などで国語力を高める
作文や論文などの文章も、結論→理由→具体例→結論 の流れで書くといいと言われています。
論理的な説明が求められているので、論理的思考をつけるのに効果的だと思います。
文章を読みとる力も同様で、算数や数学の文章題も、「正しく読み取れていない」からこそ、問題が解けていないと言われています。
どの教科も日本語で出題されているのですから、問われていることを確実に理解し、適した回答をする力は重要ですね。
数字の理解とはまた別なので、必ずしも「国語が得意になると、(論理的思考が鍛えられて)算数もできるようになる」というわけではないのですが、
作文は「筋だった説明をするためにはどうしたらよいのか」と考えたり、
読書感想文なら「この作者はこう言ってるけど、本当にそうかな?」と
違う視点から考えるようになるので、論理的思考をつけるのにとても有効だと思います。
プログラミングに挑戦してみる
データサイエンティストなどIT系の分野を目指していきたいのであれば、「プログラミングはツール」とはいっても、基礎知識は必要。
できるうちからプログラミングはやっておくといいのではないかと私は思います。
プログラミングを学ぶこと自体がまず論理的思考を学ぶことににつながりますし、スキル的には将来言語が変わる可能性はあるものの、基本的な考え方は同じだからです。
そこでプログラミング教室が近くになくても、
経済的に余裕がなくてもできるよう
- 経済産業省が推奨
- 月額料金が安め(2万以下)
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- マイクラ、スクラッチなど小学生が扱いやすい教材
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AI時代に必要な能力についてのまとめ
- AI時代、プログラミングを学ぶことは重要ではあるが、あくまでそれはツール。
「なぜ?」と考えることができる「論理的思考」を身につけることが最も重要! - 未経験からデータサイエンティストになった夫は、小さい頃からその思考を身につける環境(作文教材、ゲームの分析、科学実験など)にあった
- 論理的思考は、小さい頃からクセづけてあげることが重要であり、効率的。
自然体験、疑問点を深めて補う体験の他、作文、科学実験などもおすすめ - データサイエンティストにならなくても、ITを駆使する力があると将来役に立つスキルを身につけられる。積極的にプログラミングも学んでみよう
今後のAI社会を生きていくためには、
ITを駆使する力だけでなく、何事にも疑問を持てる力、論理的な思考を身に着けていくことが重要です。
大人になってからではなかなか身につかないので、小さいうちから身につけるのが一番効率的。親としても応援できるといいですよね。
記事内でおすすめしたリンクや教室・教材については以下のリンクから飛べます。思い立ったが吉日で、是非体験からやってみてください♪
- 自宅でできるアメリカ発科学実験キット「Groovy Lab in a Box」
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