「そろばんを習っていたけど全然意味ないよ。やめたほうがいいんじゃない?」
こちらはそんな風に言われて少し不安になっている、そろばん教室検討中の方への記事です。
実はそろばん教室へ通った大人の中には
「数年やったけど、全然身に付かなかった」
「2~3級まで取得したのに忘れてしまった!」
という人も少なくありません。
息子がそろばん教室へ通っているので、こうした口コミは正直とても不安ではあります…
そこでこの記事では、ネットでの意見や中学受験や数学の専門家の見解、くもんと比較した体験談なども交えながら解説します。
実際に2級まで取得して現在忘れてしまった夫が、そろばんに対しどう答えたのかもお伝えします。
メリットやデメリットを細かに指摘した、有益な内容となっていると思うので、ぜひ最後までご覧ください。
そろばんは習い事として意味がないと言われている理由4つ
そろばん教室に意味がない、と言われてしまうのは、おそらく以下の理由が大きいのではないでしょうか。
- 子ども時代は効果あるけど、結局忘れるから
- 習得に時間がかかるので身に付かなかったから
- 計算の工夫をしなくなると言われているから
- 時代遅れに感じるから
様々な口コミを見ましたが、特に上から2点が、主な理由なのではないかと思います。
子ども時点は効果あるけど、結局忘れるから
2017年の20歳以上の男女を対象としたアンケート調査(そろばん未経験者含む)では、「今はできないけど、昔はできたという人は40.3%。
今もできるという人が33.4%もいるのは意外と多いものの、習っていた人の約半数はそろばんを忘れてしまうようです。
そろばんを頭にイメージした暗算が瞬時にできると。生活にはとても便利。
しかし仕事では電卓が使えてしまうので、忘れてしまうのも必然なのかもしれません。
習得に時間がかかるので身に付かなかったから
目的によってですが、そろばんをやると計算はめちゃ早いですが早いってレベルになるのに時間がかかることと分数をやらないのでその代わりのものが必要になるかと思います!どこといつまでにを設定するとわかりやすくなるかと!
— 32ページ(2027W/2030/たまに猫) (@r13p123) May 25, 2023
そろばんは一度習得してしまうと、頭の中でそろばんがイメージできるようになるので、暗算力がかなり身に付きます。
しかし、そのレベルになるには鍛錬が必要。
習得スピードには個人差がありますが、少なくとも2~3年は続けることが目安となる上に、暗算できるようになるまでには練習量がカギに。
そのレベルになる前に結局辞めてしまったという人も少なくありません。
計算の工夫をしなくなると言われているから
そろばんである程度暗算をマスターすると、3桁×3桁の計算も頭のなかで簡単にできるようになります。
そのため、間の計算をしなくなってしまうために、早く計算するための工夫をしなくなってしまうのではないかと言われています。
例えば最近の小学校では足し算引き算ではさくらんぼ算を習いますが、あれも計算の工夫の一つですね。
ただこれについては中学受験や数学の専門家も触れているので、のちほど解説します。
時代遅れに感じるから
アンケートではそろばん経験者であっても、電卓で計算する人が多いという結果に。
暗算が便利なシーンはあるものの、日常生活ではデジタルで完結するので、できなくてもさほど困らないということかもしれません。
そろばんは意味がある!今も人気の理由
そろばんは習得まで時間がかかる上に、習得しても忘れてしまうなら、多くの人が「意味がない」と思うのも無理はないかもしれません。
しかしそれでも、今でも数学や中学受験の先生を含む、多くの人が「そろばんは良い効果がある」と推奨しています。
もちろん今までに挙げたそろばんのデメリットは承知の上です。
どうして電卓が普及した今でも、そろばんが習い事として存在しているのか、その理由について解説します。
結論、そろばんには他の習い事では学べない、4つ最大の効果があるからです。
専門家の解説を見て、私なりに説得力があったものをピックアップしています。
以上は受験などに対応できる能力という観点ではとても有効です。
ただ忘れてしまったとしても、こうした数字への考え方がその後の数学への知識へとつながり、一生モノの能力へとつながっていると考えられます。
特に参考にした専門家の方については、こちらでご紹介しています。
位の感覚が身に着く(上からの計算を行うメリットが大きい)から
桁数が多くなる計算の場合、暗算しようとすると普通は下の位からひっ算しようとします。
しかしそろばんの場合は上の位をまず見て考えます。
これはパッと数の概算を考えたいときにとても役立つスキルです。
また数字を見る順番と、計算する順番が一致するので、下の位から考えるよりも圧倒的に早くなります。
ちなみにそろばんのように、位を意識した教具や教材は他にはありません。
位の感覚は、算数を学習するにあたってとてもつまづきやすいテーマになりやすいですが、そろばんであれば位の概念を感覚的につかむことが可能です。
集合数の感覚を獲得できるから
まず5ひく7はできないからとなりから借りて…
と、頭の中でまず言語化しながら計算しています。
また、足し算の習い始めは指で順番に数えて計算をすることもありました。
一方そろばんの場合は計算するときに、直接珠のイメージだけで素早く計算することができます。
そろばんが優れている点は、こうした言語化も順序化もせず、数量感の感覚をつかむことができる点にあります。
例えば、まずそろばんは一番上が5を表す5玉。下は4つしか珠がなく、1列で9を表しています。
そのため4+3は、「5ー2」という考え方で計算します。
5は3と2であるという補数の概念を自然と身につけることができます。
10の補数も同様に考えて計算します。
このような計算方法は5や10を概念的に習得できるので、集合数としての数の感覚が身に付き、後の数的センスへとつながっていきます。
指先を動かすことが右脳の能力を向上させるから
そろばんが右脳を活性化させるという話は有名なので、よくご存知の方も多いかもしれません。
学校では論理・計算などを行う左脳を多く使っていおり、普段の生活で右脳を鍛える機会はそこまで多くありません。
しかし右脳のもつ「ひらめき、イメージ力」を鍛えることで、ワーキングメモリーや情報処理能力がよりアップし、頭の回転が速くなります。
脳科学者の河野貴美子先生によると、実際にそろばんの有段者や将棋のプロの脳波を観察すると、右脳を多く使っていることがわかっているようです。
受験の時に差をつけることができるから
以上のように、そろばんは右脳のによるイメージ力を使用することで素早い計算が可能です。
これは受験の場面においてかなり役に立つスキルです。
私も数学も式や公式などは理解していても、計算の場面で苦労した経験があるのでよくわかります。
中学受験の合格者の家庭を対象としたアンケートでも、「そろばんが役に立った!」と答えた人はかなり多くいました。※2023年11/17~18にクラウドワークスにて10家庭を対象に実施。
進学校や難関大に進学する子にも、そろばん経験者が多くいるようです。
小学生のそろばんが出来るひとって、受験も上手くいくことが多いですよ。
私は小学生のとき某地区の優勝者でしたけど、前後の優勝者のほとんどが、その地区の超進学校とか、京大、医学科、最難関私大とかに属してて、驚くものです。— 氷 (@EhUOw8dUeoUOH6g) March 14, 2019
そろばんを「意味のない」ものにしないための対処法
しかし、それでもそろばんはうまくやらないと「意味がない」ものになってしまう可能性はゼロではありません。
それは他の習い事でも同じです。
もしそろばんを習い事として成功させたい場合、以下の3点に気をつけると「意味ないな…」という事態を防ぐことができます。
習得スピードを上げるために早めに始めること
そろばんはやはり習得しなければ「意味がない」ものになってしまうことは避けられません。
しかしそろばんは習得まで大変というのが大きなデメリット。
ただ一度習得すれば、受験でもかなり大きな武器になります。
そのため、習得スピードを上げるためにもなるべく早く始めるほうが良いです。
特にひっ算を学び始める前のほうが混乱しづらくおすすめ。
5歳~少なくとも小学校3・4年生までに始めるのがおすすめです。
目安としては、少なくともそろばん3級・暗算3級まで取得すると結構使えるようになります。
間の計算や計算の工夫は別の方法で学ぶこと
計算の工夫をしなくなるデメリットがあるのでは…という巷の意見に対し、専門家は「さほど気にする必要はない」としていることが多いです。
その意図としては以下の通りです。
- 計算方法は時と場合によって使い分けるべきである
- 間の計算も両方学べば全く問題がないこと
暗算のほうが効率的な時と、工夫をすべき時をうまく使い分けられるよう、授業はよく聞くことや、他教材で学ぶことも同時に行うのがおすすめです。
小学生の子がいる家庭を対象に行った「算数の理解に役立った通信教材」アンケート(調査機関2023年01月24日 ~ 02月03日)では、1位が「進研ゼミ」でした。
また先取り・戻り学習ができる算数特化教材「RISU算数」や、
国語的算数教室で有名な玉井式のAAA+数の極は、中学受験を検討している家庭に多く受講されています。
補助教材として、こうした教材を使用していくのもおすすめです。
そろばんをその後忘れてしまっても大丈夫!と知っておく
ちなみに夫も珠算は2級まで取得したそうですが、現在忘れており、そろばんを頭でイメージした暗算はできないそうです。
ただ、現在も理系の職種についています。
息子にそろばん習わせるにあたって、「そろばんを忘れるなら意味がないんじゃ?」と相談したところ、
忘れはしたけど、それ意外のところで効果があったと思うから、意味がないとは思わない
とのこと。
その意図は、夫の日常の発言からして以下の4点ではないかと思います。
- 数字に対する考え方が身に付いた
- 数字への苦手意識がなくなった
- 成功体験になった
- 少なくとも学生のうちは役立ったので、自信がついた
一番効果が実感できるのは、やはり授業や受験の時かと思います。
計算力はもちろん、集合数の感覚や上の位から読む感覚などのメリットが、結果的に数学を学ぶ上での土台になることは間違いないと思います。
また数字への苦手意識がなくなったことで、その後理系の選択肢も持つことができますし、達成したという成功体験が自信になります。
どんな習い事選んでも、続けなければ忘れちゃうよね。
他の習い事も忘れたからといって、意味ないかというと、自信やスキルになったという点で意味がないわけではありません。
しかも経験者なら再開しても、意外と身体が覚えていることが多いですよね。
Xでも、そろばん経験者はその後の数学の理解が早かったことに言及する人がいました。
そろばん教育は無意味とよく言われるけど、周りの計算が早くて正確な人達はその後の数学の理解ペースが早かったことを思えば、本当に優位性を失ったのかには、個人的にこの経験がベースとなった疑問がある。
— 朱 玲華(Shu Reika) (@Linghua_VRC) March 4, 2023
くもんと迷ってそろばんを選んだ理由
息子はくもんと迷いましたが、結局そろばん教室を選びました。
くもんのほうが教室も友達も多かったのですが、そろばんを習い事として選んだのは以下の理由です。
- くもんの膨大なプリント数が不安
- 手先が器用なのでそろばん向き
- 夫や多くの難関合格者がそろばんを習っていた
息子はあまり紙のワークや宿題は好きではないタイプ。
そのため、くもんの膨大なプリントをやらせるのは大変だと判断しました。
またレゴを作ったり、小さい字を書いたり、編み物に夢中になるなど、意外と手先を使うことが好きであったことから、
そろばんをこなす方が向いていると判断したためです。
あとはくもんに見学に行く前に、本人が先にそろばんを気に入ったことも大きいですけどね…
長く続けるにあたり、子どもがどちらが好きそうか、向いていそうか、という観点も重要かもしれません。
そろばんは意味がない?まとめ
そろばんを習ったけど意味がない、やめたほうがいいよと言う人には、身につかなかったり忘れてしまったりすることが多いことがわかりました。
その真意は、「そろばんは習得が大変である」という点です。
練習量によって習得スピードが変わるため、とにかく練習させなくてはならないのは大変ですね。
ただ一度習得すると、受験でも実生活でもかなり役立つため、難関の学校へ進学した人の多くは
そろばんをやっていてよかった!
と口を揃えています。
そこで息子は「週1が基本」とされている、「よみかきそろばんくらぶ」に、オンラインで習っています。
週1でありながら実教室より進みが早く、
また最低目標である3級を卒業までに習得する子が多くいるのが特徴です。
他の習い事をしていても無理なく通えており、また無料の動画や練習コンテンツにより自習を行うことで効果を実感しています。
オンライン教室はいつでも受講でき、先生を選ぶことができるのも実教室にはない大きなメリット。
オンラインそろばん教室を比較したこちらの記事も、ぜひ参考にしてくださいね。
「そろばん教室に通ったことで、集中力や暗算力、計算力がついた。」